XJ900の爽快チューン
2011年4月13日 - 1年半ぶりに、なんとかエンジンに火は入ったものの…   
     
セルフのスタンドでは外したタンクへの給油はダメだと言われ、しかたなく有人スタンドでヤな感じのオッサンに給油してもらった。
1年半放置していたキャブレターを外して大きな鉄製バットに入れ、パーツクリーナーを吹きかけながら、ざっとブラシで清掃。
焦っていたので途中の写真は撮る余裕なし。バットの底で固まったパッキンはがしの中に、ジェットから剥がれた汚れが混ざる。
 電装系の中で、点火系だけはエンジンを始動しないと作動確認ができない。で、とりあえずタンクをクルマに積んでスタンドに行き、レギュラーを10リットル買ってきた。
 続いてキャブの掃除にとりかかった。1年半の放置期間中、ガソリンを抜いていたので、内部の汚れは大したことなく、簡単な掃除でいけるはず…だったのに、ここでとんでもない失敗をしてしまった。
 常備しているはずのキャブレタークリーナー(またはエンジンコンデ
ィショナー)がなく、前にピストンヘッドのカーボンを落とすときに使い残していた“パッキンはがし”なる薬品を“確か、コイツも汚れ落としに効果があったはず…”と、安易にスプレーしてしまったからだ。

 メインジェット、パイロットジェ
ット、パイロットエアジェット、スタータージェット、パイロットスクリュー、ジェットニードル、メインノズル(エマルジョンチューブ)などを小さなバットに入れ、パッキンはがしを吹きかけると、キャブレタ
ークリーナーと同じように細かな泡ができた。そこまではよかった。
 急ぎの仕事じゃないので、ゆっくりやるつもりで、回転式整備台の脇に置いた椅子に座り、広げたフラップを作業卓にして、ブラシや綿棒を使って、まずはバットに入ったメインジェットの泡を落としにかかったところ、このパッキンはがしは次第に硬化していくと判明。1個目は問題なかったのに、2個目のメインジ
ェットからはとろっとしたゼリー状

の薬剤が出てきて、3個目にはわらび餅程度の固さになっていた。
 やべ〜! このままでは取り返しのつかないことになる…と、慌てた私はメインジェットを放り出し、大急ぎでメインノズル(エマルジョンチューブ)の掃除にかかった。
 が、時すでに(半ば)遅し。メインノズルの縦穴から横穴にかけて枝を広げた樹木のような形で固まりつつあったわらび餅は、パーツクリーナーを吹きつけた程度ではビクともしない。しかたがないから、近くにあった軟銅の撚り線をほぐし、細線を数本束ねて撚った特製ブラシを急造し、それと爪楊枝を駆使し、何とか固形物を取り除くことができた。
 キャブ本体にスプレーしなかったのは不幸中の幸いというしかない。
シールドメッシュからのアース線には余裕を持たせ、アース線取りつけネジを外さなくてもプラグの脱着ができるようにした。折り返した高圧ケーブル芯線の端とシールドメッシュ端部が近すぎ、夜間のチェックではその間にスパークが見えた。接着剤で固める前に、とりあえずシールドメッシュを10mm短縮して間隔を広げたところ、現状ではスパークしなくなった。
 キャブ掃除のあわてぶりとは裏腹に、その後のエンジン始動は“おごそかな儀式”といった感じだった。タンクとキャブを仮のホースで接続し、点火系配線に接続ミスがないか目視で点検したあとで、スターター
(チョーク)を引いて始動ボタンを押すと、数回転のクランキングの後あっけなくエンジンは目覚めた。
 合わせたはずの4連キャブの同調が狂っているような感じと、全閉にしたあとの回転の下がりが悪いような感じがするのは、とりあえず気づかなかったことにして(笑)、ここでは4本のプラグにちゃんと火が飛んでいることが確認できればOKだ。
 あとは、夜まで待って、暗い中で始動し、イグニッションコイル〜プラグ間のリークを点検すればいい。

 夜の再始動では、突き刺しただけで絶縁スリーブをかぶせていなかったイグニッションコイルの入り口あたりで、コイル内部〜シールドメッシュ間に、ときおり火花が飛んでいるのが見えた。やはり、ここは、ち
ゃんと接着剤を使って空気を遮断しないとリークするようである。
 が、その前に、空気を遮断しなくてもリークしないところまでシールドメッシュの端部を遠ざけておき、そのうえで接着剤を塗れば、さらに安心である。さっそくイグニッションコイルからコードを抜き、熱収縮チューブとシールドメッシュを10mmカットし、10mm長いシリコンチューブ(上の写真の暗い赤部分)を挿してみたところ、このときの雰囲気/
運転状態ではリークしなくなった。

 リーク対策をしながら、たぶんこれが昼間に始動したときに感じた同調不良の原因だったのだろう…と、都合よく解釈していたのに、対策後の再始動でも、同調不良は直っていなかった。全閉時の回転の下がりが遅いのと合わせて、明るく、夜ほど近所迷惑を考えずにすむ昼間に原因追求〜対策をすることにして、この日の作業はここで終わりにした。
 一昨年の11月22日に始動不能状態にして以来、約1年半ぶりのエンジン始動だったというのに、嬉しさよりもむしろ困惑が大きかったのは、始動なんぞ、できて当たり前…という、現役メカ時代からの鼻持ちならぬ(今や怪しい)自信と、始動〜路上復帰の間の繁雑な作業が目前に迫
ったせいであろう(笑)。


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