XJ900の爽快チューン
2011年12月23日 - シールヘッドを組み立て。ロッドにはエステル吸着を狙った“おまじない”
     
シールヘッド本体と、その内部に入るスモールパーツ。左から順に、ダストシール、Xリング、バックアップリング、ソリッドブッシュ。ダストシールが入るポケットの奥の溝の中に、外側(ショック装着状態では下側)から順にバックアップリングとXリングが入る。
 ダストシールやオイルシール(Xリング)単体での摺動性が云々…というのは、ピストンリングつきのピストンを単体のシリンダーに挿入して上下動に大きな抵抗があるのを何とかしたい…と言うのに似ている。
 ピストンリングの摺動抵抗など、ピストンをコンロッドに取りつけてクランクを回せば気にならないのと同じく、ダストシールやオイルシール(Xリング)の摺動抵抗もまた、シールヘッドに組み込み、スプリングを取りつけて完成したショックを

伸縮させればわからないはずだ。
 で、どこに何を塗って組み立てるかの検討はこのあたりで終わりにして、シールヘッドの組み立てに移った。道具を作ったり、バーナーであぶるなど、面倒な分解とは異なり、組み立ては予想どおり簡単だった。
 最初に挿入したバックアップリングと、次に挿入したXリングは、どちらも道具不要。これらの入る溝にプロテクションXを垂らし、ブッシ
ュ側(内径16mm)から指で押し込んで、ダストシール側(内径14.3mm)

から小指を差し込んで“ぐりぐり”
やって、溝になじませておいた。
 続いてソリッドブッシュの圧入。おあつらえ向きのフランジカラーを見つけておいたので、それを“当て金”にして叩き込む。取り出すときに使った大きめのハンマー(貼りつきを剥がすのに衝撃が必要)ではなく、最小のハンマーを使った。
 このハンマーは、衝撃を与えるというよりは振動を加える感じで使うことが多い。軽さを生かし、慣性力よりも回数で勝負。ドラムの連打よ
ブッシュの内径にぴったりのフランジカラーを挿入し、フランジ部をハンマーで叩く。フランジが本体に当たれば打ち込み完了。バックアップリング+Xリングの奥に、ソリッドブッシュが見える。打ち込みすぎるとXリングに接触するので、少しずつ打ち込んだ。
ろしく2〜3Hzで打ち続け、鈍い音が鋭い音に変わったところで打ち込み終了。深すぎも浅すぎもせず、ちょうど良い位置に収まっていた。
 最後はダストシールである。これは二面幅17mmのボックスソケットレンチがぴったりの外径だったので、それを当て、同じく最小のハンマーで叩き込んだ。大ハンマーだと潰れてしまいそうなこうした小さなパーツも、コイツなら安心して叩き込める。目視で裏面の隙間がなくなったところで打ち込みを終えた。

 ダンパー本体(シリンダー)との隙間を封止する外周のOリングは、溝内とOリング表面にフードオイル(高純度のパラフィン系オイル)を塗ってセットし、準備が完了した。
 あとは、2つのサブアッセンブリ
ー(ダンパーピストンとシールヘッド)を含むすべてのパーツをロッドに通し、組み立てるだけだ。が、それは明日以降、ロングスパンの作業時間がとれる日にすることにして、ロッドに“おまじない”を施した。
 WPC+DLC処理したロッドをヘアド

ライヤーで(素手では持てないくらいに)温め、プロテクションXを垂らしては延ばし、垂らしては延ばしを、1時間くらい繰り返したのだ。
 科学的根拠を問われると苦しいので(笑)、おまじないである。まあ、表面に付着した水分その他の余分な物が飛んでいって、その代わりにエステルが少々多めに付着してくれるのではないか…という、確かめようのない希望に基づく行為といえる。
 今回は、他にも、この、娘のお古のドライヤーが大活躍してくれた。
シール挿入時にリップを保護すべく、ロッドの角に面取りをした。何度もやるなら、段差に当てる形のインストーラーが欲しい。ロッドを100℃前後に加熱し、より多く吸着するのを願いつつ、エステルの塊と言われるプロテクションXを塗り広げていった。


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