XJ900の爽快チューン
爽快チューン・貢献度番付

バイカーズステーション誌の連載“XJ900の爽快チューン”の主役であるXJ900(4BB1/1991年式)に施してきた改造の数々を、爽快感アップへの貢献度の大きかったものから順に紹介します。(製作中につき項目のみ)

■第1位 … クランクケース内の強制減圧 ☆☆☆☆☆   
 
   

■第2位 … Hi-Ef ステアリングヘッド ☆☆☆☆☆   
 
   

■第3位 … アッシュ FSE エンジンオイル ☆☆☆☆☆   
 
   

■第4位 … ベルリンガー・ブレーキマスター ☆☆☆☆☆   
 
   

■第5位 … メタリカ・ブレーキパッド ☆☆☆☆☆   
 
   

■第6位 … アッシュ FS フォークオイル ☆☆☆☆   
 
   

■第7位 … ピレリ・スポーツデーモン ☆☆☆☆   
 
   

■第8位 … 車体左右バランスの適正化 ☆☆☆☆   
 
   

■第9位 … オーリンズ・リアショック ☆☆☆☆   
 
   

■第10位 … 前後の車高調整 ☆☆☆☆   
 
   

■第11位 … BSR37キャブレター ☆☆☆☆   
 
   

■第12位 … 点火電装系の強化 ☆☆☆☆   
 
   

■第13位 … ダンパーユニットの帯電除去 ☆☆☆   
 
   

■第14位 … バリアブル・ハイスロットル ☆☆☆   
 
   

■第15位 … ハンドルバーの交換と調整 ☆☆☆   
 
   

爽快度を高める重要整備項目

チューニングという言葉は、本来、整備も含むのですが、ここでは業界の慣例に従って“チューニング=性能向上、整備=性能維持”ということにして話を進めます。で、以下は、爽快チューンのベースとなる整備のうち、爽快度を高めるうえで欠かせない項目を、私が重視している順に並べたものです。

■4連キャブレターの同調   
 
何たってこれがトップ。セッティングは少々狂っていても、同調が完璧なら許せます。でも、逆はダメ。2気筒以上のエンジンでは、とにかく全気筒の足並みが揃わないと、不快な振動が出たり機関効率が低下したりで、ロクなことはありません。多くの市販車ではアイドリング状態の吸気管負圧を揃え、レーサーでは全開時のスロットルバルブの開度を揃えるのが一般的な同調調整の方法です。でも、私の場合はどちらでもなく、アイドリングの状態から、わずかにスロットルを開け閉めして 約1050〜2000rpmの間をゆっくりと往復させ、そこでの回転上昇時に“4気筒の足並み”が揃うように調整しています。古い(程度の悪い)キャブレターほど、この方法と一般的調整方法との差が大きくなります。測定器は使わず、排気音やメカノイズを聞いたり、マフラーの排気口にかざした手で排気脈動を感じとったり、フレームに手を当てて振動の波形を確かめたりしながら、3箇所の調整ネジとアイドル調整ネジ(全閉位置調整ネジ)を緩めたり締めたり…と、かなり面倒な作業です。しかし、完璧に同調がとれたときの気持ちよさを思えば、面倒でもやっておく価値は充分にあります。で、この作業の精度は、ミクニの BSやBSRであれば、3本の同調調整ネジのうち、どれか1本が30度(1回転の1/12)締まりすぎていたり緩みすぎていると、もうダメ…という程度。同調が大きく狂っているうちは、どれか1本を30度くらい回しても、全体としてはちっとも変化しませんが、完璧に近づけば近づくほど、調整ネジのわずかな締め具合の差が“足並みの乱れ”として体感できるようになります。

■キャブレターセッティング   
 
キャブレターセッティングにおいて、最も重視するのは全閉からの開け始めのエンジンの反応です。これは、時間を横軸/車速を縦軸にとったグラフ上の線が、右下がりから右上がりに移り変わる部分の“Rの大きさ”と言い換えてもよいでしょう。バイカーズステーション誌2007年6月号に、このグラフを載せましたが、Rが大きければよいかというと、そうでもありません。Rに続く右上がりの部分の傾きが右手の操作でコントロールしやすく、しかも、その傾き具合に最適の大きさのRが自動的に得られる…ってなのが理想です。多くのCVキャブ装着車は、私の感覚からすればRが小さすぎ、その直後(だけ)の傾きが大きすぎます。かといって、FCRやTMRなどのレーシングキャブは、エンジンが要求する開度と実際の開度の差が大きくなればなるほど、全閉からわずかに開けたあたりの反応が鈍く、早くそこを通過させようとするあまり、ラフなスロットルワークになりがちです。全閉からの開け始めのセッティングには、アイドルポートとスローポートのバランス、スローポートとスロットルバルブ(バタフライバルブ)の位置関係、スロージェット(パイロットジェット)のエアブリード量など、あちらを立てればこちらが立たず…的な難しさがあり、さらに、点火時期(進角特性)によっても反応が変わりますから、ベストセッティング(というよりは、最も自分好みのセッティング)を出すのは至難の業です。しかし、ここがちゃんとできていれば“ウェットの下りタイトコーナーの立ち上がりで何も気にせずにスロットルを開ける”といったことができるわけで、そこまでセッティングが出れば、他の状況でも非常に心地よく走ることができます。

■ブレーキキャリパーの清掃/給脂   
 
   

■フロントまわりの組み立て/締めつけ調整   
 
   

■タイヤの空気圧調整   
 
前後ショックとステアリングヘッドが完調なら、0.2kg/cm^2単位の増減による操安性の違いが体感できます。

■点火時期調整   
 
これは難しい。そのマシン固有のエンジン特性/燃料供給特性/進角特性の3つが絡み合いますからね。

■スロットルの遊び調整   
 
可能な限り遊びをなくすだけだから簡単です。

したくない改造と使いたくないパーツ



■アルミのブレーキホースフィッティング   
 
元々、青や赤のアルマイトが好きじゃないので使っていませんでしたが、内部が腐食して膨らみ、縦に裂けたフィッティング(もちろん、他人のバイク)を見てからは、ますます信頼できなくなりました。そういえば、モトGPマシンや昔のワークス500ccGPマシンでも、フィッティングといえば鉄かステンレスが主流です。

■クランクケースブリーザーの大気開放   
 
今どき、こんなことをしている人は、すぐに止めましょう。

■エアクリーナー/フィルターの撤去   
 
   

■ステンレスボルト/ナット   
 
ステンレスボルト=錆びにくい。う〜む、確かにそうです。ボルト自身はね。でも、ボルトの相手方は、普通の鉄のボルトを使った場合よりも錆びやすい。で、クランクケースにクランクケースカバーを取り付けているボルトを例にしますと、錆びにくい、見た目がきれいなどの理由で、ステンレスボルトを使いたくなるわけですが、上に書いた“相手方が錆びやすい”ということを知った途端、使いたくなくなりますね。部分的とはいえクランクケースが錆びるのと、ボルトが錆びるのの、どちらを我慢するか。大げさに言うと、クランクケースとボルトの、どちらが大事か…ってことになります。落としたときにマグネットで救出できないってのも、使う場所によってはステンレスボルトの欠点になり得ます。もうひとつ、細かい話ですが、締めつけ時の手応えがよくないってのも、締め加減を重視する部分にステンレスボルトを使いたくない理由です。これは、ステンレスという素材の持つ“滑りにくさ”が原因です。まあ、そんなわけで、私の場合は、2007〜2008年のエンジンオーバーホール時に、エンジンまわりのステンレスボルトを全廃しました。残っている車体まわりのも、少しずつなくしていこうと思っています。

■音量増大/音質低下を招くマフラー   
 
騒音規制違反は、もっと厳しく取り締まるべきです。パトカーに容易に積めるような加速騒音測定用ローラーなんて、その気になれば簡単に作れるでしょ。そいつと騒音計を積んで、少なくとも、ネズミ捕りと同程度またはそれ以上に、頻繁に取り締まってくれませんかね。で、スピード違反と違って、こいつは、その場で規制値に適合する修復ができなければ、車両預かりでよいと思います。もちろん、罰則も思い切り強化すべきです。取り締まりもせず、罰則も強化せずでは、いくら規制の“値”だけ下げても、何の効果もありません。個人的には、2002年規制なんて、不要だったと思います。取り締まりと罰則を強化して、違反者がなくなれば、それ以前の規制値で充分だったはず。車両メーカー4社と、規制をクリアした製品を造る真っ当なマフラーメーカーあたりが協力して、上記測定装置を開発/製造し、警察と車検場に提供してはどうでしょう。それと交換条件に、ユーロ3と同一レベルにまで規制値を戻させるくらいの政治力を発揮してほしいものです。ダメなら外圧頼りでもよいでしょう。上に“罰則を強化”と書きましたが、使用者だけでなく、製造者/販売者も厳罰の対象とし、びしびし摘発すべきです。

■ウインカー/ミラーなどの過度の小型化   
 
   

■増粘剤を多用したエンジンオイル   
 
ノンポリマーをうたっている例外的な製品を除き、マルチグレードのオイルにはポリマー(増粘用樹脂)が入っていると考えて間違いないでしょう。オイルの世界でポリマーというのは、温度上昇とともに低下する粘度低下率を小さくするために、ベースオイルに添加する樹脂のことです。ポリマーの分子は、潤滑成分である油脂よりもはるかに大きく、毛玉のような構造をしています。温度が上がると毛玉が膨れ、枝を広げて粘度低下を抑え、温度が下がると収縮するという性質を利用しているわけです。ところが、困ったことに、ポリマーは高温とせん断に弱いという特徴を持っています。入れた直後はよかったけど、すぐにシャバシャバになってしまった…なんてオイルは、高温時の粘度を高めるためにポリマーを多用しているのでしょう。水増しみたいなものですね。すぐにシャバシャバになるのも困ったものですが、高温やせん断で破壊されたポリマーの分子がスラッジとなって、オイルそのものを汚したり、エンジン内部に溜ったりするのもいただけません。

■レース用キャブレター(FCRなど)   
 
実は好きです。レース用キャブレター。CRもFCRもTMRも。もう一台バイクを持っていて、そっちは年に数回、峠道を走りに行くための専用車…ってな環境なら、間違いなくレース用キャブを装着すると思います。エアクリーナーは外さず、マフラーも替えませんけどね…。でも、今のXJ900に装着する気はありません。年間2万km走るとして、何年もつのかなぁ…。とあるZ系チューニングショップで聞いた話では“FCRは消耗パーツ”だそうで、それを知らないお客さんには、消耗パーツであることをよ〜く説明し、納得してもらってから取り付けているそうです。構造を見ればわかりますけど、スロットルバルブのローラーが走る部分のボディが減って、スロットルバルブのガタが大きくなってきます。でも、メンテナンスなしで何万kmももたないからといって、耐久性がない…なんて言うのは“言いがかり”もいいところ。レース用部品ですからね。それを理解して、性能が必要な人は選ぶ。高価なキャブを3〜4年ごとに新品に交換したいとは思わない私は(今のXJ900には)選ばない。単純な話です。

■ハイオク(プレミアム)ガソリン   
 
ハイオクは燃えやすい、パワーが出る、燃費が良くなるなどというのはすべてウソ…とまでは言いませんが、非科学的な言説です。逆に、ハイオクは燃えにくい…という人もいますが、これもちょっとねぇ…。言いたいことはわかりますが、ハイオクが燃えやすいと思っている人に対して“燃えにくい”と言うのは、わかりやすく説明しているつもりで、実は混乱させているのではないでしょうか。知らない人に、正しい科学的知識を身につけてもらうためにも、ここはひとつ“ハイオク=ノッキングが起きにくい”でいきましょう。…というわけで、使いたくないのは、必要がないから。ハイオクを必要とするチューニングやセッティングをした場合は入れますが…。でも、それもあまりしたくありません。ハイオクってのは、プレミアムガソリンと呼ばれることもあるように、単純に耐ノック性能を高めただけでなく、レギュラーには入っていない添加剤を入れている商品が多いようです。洗浄剤もその一例。これは私にとって“必要がない”ではなく“不要”です。とあるアフターパーツメーカーの燃料フィルターを使っていたときに、ハイオクを入れると決まって詰まったのは、たぶん、添加剤のしわざだと思います。目づまりしたフィルターを口に当て、プッと吹いたときに、濃縮された添加剤と思しき液体が霧になって飛び散ったのを見てからは、ますますハイオク(プレミアムガソリン)不信に陥りました。

 
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