49 デュッセルドルフに向かう


朝、濃すぎず薄すぎず
ちょうど良い濃さのドイツコーヒーと
ケシの実がたっぷりついたパン
薄切りのソーセージとチーズという
典型的ドイツスタイルの朝食を食べてから
デュッセルドルフのKさんに電話した。
待ち合わせは、正午にデュッセルドルフ中央駅
場所は“パタパタ”の下ということになった。
パタパタというのは、どこの駅や空港にもある出発案内の表示板のこと。

モンデオに荷物を運び、Wさんを助手席に乗せて
ケルンの町を出、アウトバーン[A57]をデュッセルドルフに向かう。
地図で見ると、このあたりには大都市がいくつもあり
アウトバーンや一般道、鉄道や運河が交錯しているが
実際に走ってみるとアウトバーンは森の中にあり
インターチェンジ(Autobahnkreuz)の誘導路でさえ
うっそうと繁る松林の中を通っている。


ケルン〜デュッセルドルフ間は
ライン川の西に沿う[A57]で約38km。
他にも[A3]、[A59]などが
両都市間を結んでいる。
ミシュランのヨーロッパアトラスでは
川沿いの平地に見えるが
アウトバーンは
森の中を走る区間が長い。


Kさんというのが何者で
どうやって連絡をとりあっていたか
…つまり、パソコン通信とはどういうものか、などを
Wさんに説明しながら[A57]を走る。
このあたりはさすがに大都市圏だけあって
拡張や補修など、アウトバーンにも工事中の個所が多い。

交通規制や走りのマナーなど
日本の道路交通がアウトバーンに見習うべき点はいっぱいあるが
拡幅や舗装の修理などの工事の方法こそ
真っ先に採り入れてもらいたい。
ドイツにだって渋滞はあるが、何たって日本は渋滞王国だから
できるだけ交通の妨げにならないように工事してほしいものだ。
アウトバーン流の道路工事を要約すると、次のようになる。
 |路|走:追:追□↑:↑:↑| |   |路|走:追:追□↑:↑:↑| |
 |側|行:越:越□ : : | |   |側|行:越:越□ : : | |
 |帯|車:車:車□ : : | |   |帯|車:車:車□ : : | |
 | |線|線|線□ : : | |   | |線|線|線□ | | | |
 |/ / / /□ : : | |   |  \ \ \ \ \ \ \|
 / / / / □ : : | |   |   \ \ \ \ \ \ \ 
 | : :|  □ : : | |   |  ■ \ \ \ || : |
 | : :|■ □ : : | |   |  ■  \ \ \|| : |
 | : :|工 □ : : | |   |  工  | □ ||: : |
 | : :|事 □ : : | |   |  事  | □ :|: : |
 | : :|個 □ : : | |   |  個  | □ :|: : |
 | : :|所 □ : : | |   |  所  | □ ||: : |
 | : :|■ □ : : | |   |  ■  / / /|| : |
 | : :|  □ : : | |   |  ■ / / / || : |
 \ \ \ \ □ : : | |   |   / / / / / / /
 |\ \ \ \□ : : | |   |  / / / / / / /|
 | | | | □追:追:走| |   | | | | □追|追|走| |
 | | : : □越:越:行|路|   | | : : □越:越:行|路|
 | | : : □車:車:車|側|   | | : : □車:車:車|側|
 | |↓:↓:↓□線:線:線|帯|   | |↓:↓:↓□線:線:線|帯|
舗装の修理とか橋の架け替えなどの簡単な工事個所では
工事のために車線の数を減らすことは稀で
縦に長く工事個所を設け
工事のために塞がれる車線を除いた残りの道幅に
工事をしていない部分と同じ数の車線を描いているのだ。
こうすれば、車線1本当りの幅は狭くなるが車線数が減らないため
工事個所の手前で合流渋滞が起きることはない。

もちろん、1車線当りの幅が狭くなったところには制限速度がある。
たいてい60km/hだったと思うが
中央分離帯の切れ目を横断するところなどは40km/hである。
一番中央寄りの車線など
幅が2.2メートルに狭められるところが多いから
慣れないと60km/hでも緊張の連続だ。
2.2メートルの幅を
一般的な1.7メートル前後の幅の乗用車で走ってみると
もう、両側にほとんど隙間がないように感じられる。

そして、日本の漫然と流れる高速道路に慣れたドライバーにとって
アウトバーンで最も危険だと思われるのは
速度無制限区間を200km/hなどで走っていて
80km/hの速度制限の標識があったとしたら
ぎりぎりまで200km/hのまま突っ込み
標識の真横で強烈にブレーキをかけて
瞬時に80km/hに落とすドライバーが多いということ。

前車に追走していて工事区間にさしかかり
前車がなかなか速度を落とさなくても
そのままの速度で工事区間に入るだろうなどと考えるとパニックに陥る。
初めてアウトバーンを走った頃は
目の前でドイツ流のブレーキングをされ
何度か危ない目にあったものだ。

ケルンから30分ほど走って
デュッセルドルフ中央駅(Duesseldorf Hauptbahnhof)に着いた。