その1『安い時期を狙う』 需要が多い時期には高くても売れる。 これは航空券に限らず、商売の原則である。 逆に、需要が少ない時期には 値段を下げて需要を喚起する。 とくに、客が少ないからといって 容易に減便や運休ができない旅客輸送業界では かなり思い切ったディスカウントをしてでも なるべく空席を埋めようとする。 安く行きたいなら、この時期を逃すテはない。 では、どの時期が安いのか……。 右の表を見ていただきたい。 これは、格安航空券の中でも『正規モノ』に属する 『個人割引運賃』の基本公示価格の一例で ルフトハンザの『euromantic』の場合である。 ご覧のように、時期による価格差は大きく 最低12万8千円から最高32万5千円まで その差は約20万円に達している。 日程を動かせない事情があれば別だが 例えば、4月26日出発を1日早めれば 右の表では7万円安くなる。 1日早く出て、1泊3万円のホテルに泊まっても まだ4万円お釣りがくるというわけだ。 同一価格帯の真っ只中なら仕方ないが 出発日が価格帯の変わり目あたりなら 少しの日程変更でかなり得をすることがある。 |
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その2『安い航空会社を狙う』 同じ時期の同じ区間(あるいは近似区間)でも チケット価格は航空会社によって大きく異なる。 同じ日本〜欧州間の直行便でも 会社によってかなり違うし アジア系航空会社利用の場合は 直行便よりもかなり安くなることが多い。 ただ、目的地が直行便就航以外の都市の場合 USA経由やアジア系航空会社を利用したのでは ヨーロッパ内で別会社に乗り換えることになり 当然、追加料金が必要となる。 ただし、日本の航空会社は別で 提携航空会社の便を利用して 多くの都市を同一料金でカバーしている。 右の表に出ているのは ヨーロッパ系航空会社としては平均的価格の BA(ブリティッシュ・エアウェイズ) かなり安い部類のSN(サベナ・ベルギー航空) やや高めのAF(エール・フランス) そして、アジア系の中でも安い部類の SQ(シンガポール航空)と 最も安い部類のMH(マレーシア航空)である。 BAのところで『EUR』とあるのは ロンドン(ヒースロー空港)で乗り換えて 同社便でヨーロッパ各地へ飛んだ場合 『LON』とあるのはロンドンへの 単純往復の場合を示している。 SQ、MHはそれぞれ、シンガポール またはクアラルンプルで乗り換え 同社便でヨーロッパ主要都市へ飛ぶ。 ヨーロッパへの便数の多さと 就航都市の多さ、手ごろな有効期間など SQの210日間オープンは なかなか魅力的なチケットである。 (関空以外発の210日オープンの有無は要確認) |
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その3『安い代理店を狙う』 まったく同じチケットでも 店によって販売価格に差があるのは常識。 特定の航空会社のみ安く売っている店を除くと いわゆる『格安大手』と呼ばれるところが 平均して他より安い価格をつけている。 が、そこで気を付けなければいけないのは チケット代以外の『諸費用』の有無だ。 店によっては、さまざまな名目で チケット価格以外の費用を請求するところがある。 広告や予約時の電話ではまったくそれに触れず 長い間キャンセル待ちをさせられた末 やっとOKが出てチケットを受け取りに行ったとき 初めて『諸費用』が必要だと説明して チケット代以外に数千円を徴収する……。 このような、客の足元を見た (あるいは経験のなさにつけ込んだ) 詐欺まがいの商売をしているところがあるので 最初に予約をするときに、必ず チケット代以外に『何のための費用が いくら必要か』を確認したほうが良い。 もうひとつ気をつけなければならないのは 『確実性』の問題だ。 『格安』と称して売られているチケットの多くは 『個人割引運賃』よりもさらに安い 『個人包括割引運賃』あるいはそれに類する 代理店がホテルとセットのパックで売るために 単体の値段を安く抑えたチケットがベースなので 混雑する時期にはOKが出にくいのである。 |
『格安大手』で予約を入れて 待てど暮らせどOKの回答が来ないので 普通の店で『個人割引運賃』で予約を入れたら 即座にOK。なんてのはよくある話だ。 このほか『個人包括割引運賃』のチケットは 旅行期間が最長37日以内で 券面記載の便・期日の変更が不可能など 『個人割引運賃』のチケットよりも かなり制約が厳しいということも 知っておくべきだろう。 もちろん、それらの条件を承知の上で 融通のきく(つまり大手ではない)代理店で チケットとセットでホテルの予約(最低2泊)を 『したこと』にして『個人包括割引運賃』の チケットを売ってもらうという奥の手もあり 実際、そうやって売っている店もあるが このあたりはあまり一般的ではないし ちゃんとした商売をしている普通の代理店では 嫌がられる方法なので、詳しくは書かない。 (そもそもエアチケットだけ買う客なんてのは 一般の代理店にとって、ありがたくない客なのだ) |
その4『企画商品やスペシャルオファーを狙う』 BAなら、ヨーロッパ各都市行きよりも ロンドン単純往復のほうが安いとか LHなら成田〜フランクフルト便よりも 関空〜ミュンヘン便を使ったほうが安いとか AFなら、行きに271便を使うと5千円割引とか SQなら、関空〜シンガポール直行便よりも 台北経由便を使ったほうが安いとか (いずれも、今あるかどうかは不明) そのテの期間限定・区間限定・便限定の 特別割引運賃は多い。 また、ヨーロッパ系の航空会社では 通常ヨーロッパ内2区間のところを 同一料金で3区間まで使えたり わずかな追加料金で4区間まで追加できたり 93年にBAがやっていたように ヨーロッパ内のオープンジョウが可能で しかも他社便1区間付きで 通常のヨーロッパ主要都市往復と同一料金 などというスペシャルオファーがあったりする。 (ボクはこれを使って大阪-ロンドン-マドリッド- ウィーン-ロンドン-大阪と飛んだ。 マドリッド-ウィーン間はオーストリア航空を利用) そういった特別割引や値下げは 前もってわかっていることもあれば 突然代理店に告知されることもあり 雑誌などには載りにくかったりするので 良心的な代理店の店頭情報に注意したり なじみの代理店店員に聞くのが良いだろう。 |
その5『海外発券を狙う(欧州発日本往復)』 日本からの旅行者が『欧州発日本往復』の チケットをうまく生かすことができるのは オープンチケットでヨーロッパに行き 復路を残して『欧州発日本往復』チケットで 日本を往復した後、残っている オープンチケットの復路で帰ってくる などという場合である。 何だか難しそうだが 要は、半年とか210日とか1年とかの オープンチケットの有効期間内に 日本〜ヨーロッパを2回往復するとして 1回目の復路と2回目の往路に 『欧州発日本往復』チケットを使うわけだ。 ヨーロッパで日本往復チケットを買うのは 日本でヨーロッパ往復チケットを買うより むしろ簡単なのではないかと思う。 大都市には日系の旅行代理店があるし そうでなくても、各国からやってきた客に 慣れている代理店が多いからだろう。 個人的な印象になるが 日本の『大手』(格安とは限らない)よりも 自分の仕事内容に精通した プロフェッショナルな店員が多いようだ。 予約を頼むと、目の前で端末を叩き 即座に回答をくれるし ダメな場合は、他の日、他の航空会社 他のルート……と、納得できるまで探してくれる。 USAあたりとは、この業界の雇用事情が かなり違うのかもしれない。 ではいったい、どの程度安くなるのか 95年5月以後、もっぱら『欧州発日本往復』で 夏場にヨーロッパ〜日本間を往復したボクが 実際に購入したチケットと 購入のさいに現地の代理店で調べた 価格をまとめたのが右の表である。 上の日本発の価格と比べると その安さ(とくにハイシーズンの)が おわかりいただけると思う。 その6『海外発券を狙う(日本発欧州往復)』 『欧州発日本往復』チケット価格が 通常期で少々、ハイシーズンには大幅に 『日本発欧州往復』よりも安いのは おわかりいただけたと思うが 『欧州発日本往復』とまったく同じ価格 あるいは『呼び寄せ』と呼ばれる 特別価格の『日本発欧州往復』チケットを ヨーロッパの代理店で買うことができる。 これには2種類あって イギリスのように(たぶんフランスも) その国に連絡先がないと 売ってくれない場合と オランダやスペインのように 日本から電話やFAXで予約しただけで 売ってくれる(郵送などで)場合がある。 ボク自身は、まだこれを使った経験はなく 今までは5月にSQの210日オープンで ヨーロッパに渡り、復路を残したまま 『欧州発日本往復』で何度か日本を往復し 9月か10月に、最初のSQの復路を使って 帰国するというパターンだったが 96年夏の家族旅行に、妻子3人ぶんの 『日本発欧州往復』をアムステルダムで購入。 改めてその安さに驚かされた。 そのときのチケットは7月31日発の BAの3箇月有効のPEXで 経路はKIX-LHR-AMS、AMS-LHR-NGO。 値段は、大人が『欧州発日本往復』と まったく同額の2,250ギルダー (諸費用込みで2,305ギルダー) 子供(3歳、6歳)が大人の2/3で クレジットカード利用の合計請求額が 日本円で356,106円だった。 参考までに、バルセロナで調べた 『日本発欧州往復』チケットと ロンドンで調べた『呼び寄せ』チケット (英国内での連絡先必要)の 現地での価格を表にまとめてみた。 (アムステルダムでは欧州発と同額) |
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